坊っちゃん - 【四】 - 《47》
自分で自分のした事が云えないくらいなら、てんでしないがいい。
証拠《しょうこ》さえ挙がらなければ、しらを切るつもりで図太く構えていやがる。
おれだって中学に居た時分は少しはいたずらもしたもんだ。
しかしだれがしたと聞かれた時に、尻込みをするような卑怯《ひきょう》な事はただの一度もなかった。
したものはしたので、しないものはしないに極《きま》ってる。
おれなんぞは、いくら、いたずらをしたって潔白なものだ。
嘘を吐《つ》いて罰《ばつ》を逃《に》げるくらいなら、始めからいたずらなんかやるものか。
いたずらと罰はつきもんだ。
罰があるからいたずらも心持ちよく出来る。
いたずらだけで罰はご免蒙《めんこうむ》るなんて下劣《げれつ》な根性がどこの国に流行《はや》ると思ってるんだ。
金は借りるが、返す事はご免だと云う連中はみんな、こんな奴等が卒業してやる仕事に相違《そうい》ない。
全体中学校へ何しにはいってるんだ。
学校へはいって、嘘を吐いて、胡魔化《ごまか》して、陰《かげ》でこせこせ生意気な悪いたずらをして、そうして大きな面で卒業すれば教育を受けたもんだと癇違《かんちが》いをしていやがる。
話せない雑兵《ぞうひょう》だ。